タケノコと小女子の煮物
三陸の海の春は小女子漁で始まります。小女子はカルシュームやリンの含有量が多く、栄養的にもすぐれた食品です。もう少し経つとやがて田植えが始まりますが、その頃に旬の山菜と一緒に煮物にします。魚の稚魚を総称して「シラス」と呼んでいますが、宮城県沿岸部に多く分布しているシラスは、主にカタクチイワシとイカナゴのことを指しています。
宮城県内では、イカナゴの体長が10cm以下を小女子、それ以上をメロードまたはヨドと呼んでいます。メロードは鮮度が落ちやすいので、地元では煮干しや冷凍加工にされますが、水揚げされたばかりの新鮮なメロードを塩焼きすると全く別のものと勘違いするほどの美味しさです。また、小女子はタケノコ、フキと共に煮物にすると、これもまた絶品です。
作り方は、ゆでたタケノコをやや大きめに、食べやすい大きさに切ります。次にフキは塩を入れた熱湯でゆで、皮をむいて水にさらしてアクを抜き、3ないし4cmの長さに切ります。鍋にタケノコとフキを入れ、ひたひたの水と煮干しを加えて10分くらい火にかけだし汁を含ませる。醤油(大さじ3)、砂糖(小さじ2)、酒(大さじ1)の半分の量と小女子を入れて5分ほど煮て、そこへ残りを入れて、鍋を軽くゆすりながら汁気が少し残るくらいまで煮しめます。