北上川(その1)
北上川は、岩手県岩手郡岩手町御堂を源流とする東北最大の大河です。岩手県の中央を北から南へ縦断し、一の関の狭窄部を通過し、宮城県へと流れて登米市津山町付近で新北上川と旧北上川に分かれます。新北上川は、石巻市北上町で追波湾に注ぎ、旧北上川は、迫川、江合川と合流し、石巻湾へと流れ込む全長249㎞、流域面積10,150k㎡の川です。
北上川という名前の由来はというと、昔からこの北上川は「日高見川(ヒダカミガワ)」と呼ばれていました。「日高見」とは、「蝦夷のいるあたり」という意味で、「ヒダ」は「蝦夷」、「カ」は、場所を言い表すもので、住処(スミカ)、「ミ」は「そのあたり」という意味で「蝦夷のいるあたり」ということなのだそうです。つまり、「日高見の国に達する川」となります。
奥州藤原氏が滅亡した後、北上川流域には、葛西氏、山内首藤氏といった地頭が関東から入ってきて、後に奥州総奉行となる葛西氏は、河口の牡鹿郡(現在の石巻)もその領土として、北上川の舟運を掌握したといわれています。鎌倉、室町時代を通じて、北上川舟運は政治経済上重要な位置を占めていたと考えられ、川沿いには多くの河岸が造られました。