ムサシの恵比須顔
多分2月の初めごろだったと思うのですが、毎日用意される私の弁当のことで、ムサシがクレームをつけたことがありました。そのついでに、自分に供えられるリンゴについても少し注文をつけていましたが、ムサシの言い分はもっともだと思い、すぐに新鮮で大きめのリンゴを買ってきてムサシの写真の前に供えましたが、これがまたバカ受けでした。
自分の要求を早速聞き入れてくれたことに気をよくしているのは勿論ですが、なかばジョークのつもりで言い放った言葉に素早く反応してくれたことが嬉しかったのでしょう。それに大好きなリンゴが特大であったことも、あらためて家族の絆を感じたようでした。滅多に笑わないムサシの表情が緩み、まるで恵比寿様が砂糖でもなめたような笑顔でした。
いつも心を通わせているとはいっても、ムサシにとってのリンゴは唯一自分の居場所を確認できる象徴なのかもしれません。そのことに私たちが気づいたことに感激したための表情だったようです。自説は曲げないが積極的には自己主張をしないというムサシにしては、珍しいリアクションでしたが、彼の存在感がまた一つ大きくなったように感じられました。