ムサシ流人材育成術
わが家のムサシは、多少不満が残っていても、それをとりたてて主張したり是正を求めたりはしません。例えば、家族みんなで食事をするとき、もっと食べたいと思った時は、私の膝にチョイチョイと手を掛けアピールするぐらいで、そのまま、食事が終わると、何事もなかったかのように、食卓を離れソファーに移動してどっしりと落ち着くのが常です。
しかし、次回の食事への意見をさりげなく目で訴えるのです。そうしたサイレントアピールの方がよほど心に響き、効果があるように思います。私たち人間は、古来、100の要求をすることで、60を得ることを常套手段としてきました。調停などが正にそのスタイルですが、この方法だと妥協点を見つけ出すのに手間暇がかかり、あまり効果的ではありません。
ムサシ流のサイレントアピールは、現代の人材育成術に通じているような気がします。強烈に指導すれば、ある程度は動きますが、逆にいうと叱られなければ動かない人間に育ちます。しかし、相手のメッセージを読み取り、これに応える姿勢を示せば元々の成長力が刺激され、特に手取り足を取り教育しなくても、人材は素直に育つというのがムサシ流です。