夜逃げセット
わが家の玄関には、黒いバッグが置いてあり、中には多分懐中電灯や食料品、水その他が入っているはずです。これをふとしたきっかけで「夜逃げセット」と呼んだところ、それは面白いネーミングだと笑いながら、タグに大きくこの名前を書き込み、一目で解るように紐でくくりつけました。今思えば、確かにあの時は夜逃げさながらのスタイルでした。
あれから、1年10カ月が過ぎました。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」習性のせいでしょうか、最近は少し邪魔になる気がしていますが、これを片づけると...などと考えると、多少邪魔になっても、それが"おまじない"のような気がして、片づける気になりません。あとどれだけの時間、ここに置いておかなければならないのか見当もつかない状態です。
このところ、穏やかな日々が続いているようですが、それは、少しぐらいの揺れでは驚かなくなってしまったのであって、本当は、夜逃げセットに手を掛けるぐらいの緊張感を持つべきなのかもしれません。被災地の復興が遅々として進まないなかでも、夜逃げセットをバージョンアップするぐらいはできそうなので、中身の点検をしてみようと思います。