松川だるま
松川だるまは江戸時代後期の天保年間(1830年から1843年)、仙台藩士の松川豊之進によって作られたのが始まりと伝えられています。その後、本郷家の5代目である久三郎が松川氏の弟子となり、現在まで約170年間受け継がれてきました。だるまの制作は、先祖から伝わる木型に和紙を張り重ねることから始まり、口と目を入れる仕上げまで20ほどの工程があります。
その工程の中でも、特に仕上げは代々男の仕事で、今は、平成20年に亡くなった松川けさのさんの長男久孝さんが担っています。昔は、今のように年中作っていたわけではなく、米づくりのように、「季節ごとに作業内容が決まっていた」と奥さんの尚子さんは話しています。嫁に来た当初は、「だるま屋の仕事はしなくてもいい」と言われたんですけどとも。
「だるま屋のおばちゃん」と親しまれてきた先代が亡くなった翌年の正月、人気テレビ番組で、「仙台のだるまは青い」と紹介され、「松川だるま」が一躍有名になりました。やはり、松川だるまの伝統は、本郷家に嫁いできた女性たちの頑張りによって守られてきたのでしょう。この「青だるま」は、昭和60年に宮城県の伝統工芸品に指定されています。