9ヵ月ぶり再開(その1)
東日本大震災の津波に襲われ、行方不明になっていたワンちゃんが昨年12月下旬に9ヵ月ぶりに飼い主の元に戻ったということです。ワンちゃんは9歳のオスで名前は「ジャキ」君といい、飼い主は山元町で焼き鳥店を経営している工藤さんという方です。大震災当日、工藤さんは仕入先の亘理町で地震に遭い、急いで山元町の自宅に戻りました。
もちろん、ジャキ君のことは心配でしたが、長女が見当たらないので、まず娘を捜そうと店に向かいました。途中で娘さんと出会ったのでジャキ君を助けようと急いで家に戻りましたが、その時は既に津波が押し寄せていたのであきらめざるを得なかった。2階建ての自宅は1階部分が浸水し、犬小屋は跡形もなく流されてしまいました。
工藤さんは「あのとき、ジャキを連れていけばよかった」と何度も自分を責めたということです。ところが、店を再開しようと戻ろうとした時、見知らぬ男性と散歩している白い犬に出合ました。歩き方がジャキにそっくりだったので、車を降りて近づくと、犬が駆けだし抱きついてきた。「よく生きていたね」。工藤さんはしばらく涙が止まらなかった。