乾坤一(けんこんいち)
「乾坤一」の蔵元である大沼酒造では、昨年、宮城県の「ササシグレ」という米を使った酒造り取り組んでいましたが、その時あの東日本大震災による揺れに襲われ、大きな被害を受けました。麹室や仕込み蔵の天井が壊れ、貯蔵庫のタンクが倒れるなどしたため、搾っていた酒は、1/3を残して止まっていたということです。
蔵は、6月から修繕工事が始まり、残せるものは残し、酒造りのためにより快適で機能的な建物に生まれ変わりました。例年よりは少し遅れますが、何とか酒造りが再開できたことは、全国の酒販店や飲食店の応援のおかげだと社長の久我健さんは話しています。昨年は中途半端になってしまったササシグレ酒もまたつくると張り切っています。
正徳2年(1712年)創業というこの酒造店は、少量生産だが麹づくりからすべて手作りで行っています。宮城県産米と蔵王の水を使い、宮城ならではの酒造りを目指しています。江戸時代後期に建てられたという店舗はあの大震災にも耐え無事でした。店舗はみちのくの小京都と称される村田町の蔵通りに軒を連ねていて、歴史と伝統の重みが感じられます。