無事だった友達
若い時のムサシは、市内全域をくまなく探索するマメなワンちゃんでした。お陰で出不精な私も、市内の地図が頭にはいり今では百年もここに住んでいるような気がしています。そんなムサシも晩年は足腰が弱まったためか、行動範囲がめっきり狭まったため、遠くに住む友達とは少しずつ疎遠になってきて寂しく感じていました。
特にあの大震災では多くの友達が不幸にあったという噂を耳にし、心を痛めていましたが、先日、偶然にも街で大の仲良しだったきらら君にあいました。ちょうど赤信号で停車中だったので、"きらら"と声をかけると、彼女も覚えていてくれたようで、懐かしそうに笑顔で応えてくれました。そういえば、旧友の中ではきらら君が一番若かったはずです。
あれからかなりの年月がたっているのに、私たちを覚えていてくれたことには感激しましたが、きらら君も私たちに声をかけられたことを喜んでいるようでした。なにしろ、散歩の途中で必ず立ち寄るという仲だったので、お互いにその後の消息を案じていたに違いありません。大震災で犠牲になった仲間の分も長生きしてほしいと願うばかりです。