一番町の壱弐参(いろは)横丁
再開発の波にのまれて、年々消えていく横丁の中で、今でも元気に頑張っている大きな横丁が仙台市青葉区の一番町にあります。再開発、長引く不況、そして今回の東日本大震災、こうした大きな揺れにもめげず、しぶとく頑張り続けている横丁が生き残っているのには、それなりの理由があるようです。それは「界隈性」ということのようです。
一番町という仙台の顔であり、伊達藩の城下町のメインストリートでもあったこの界隈は、郊外型大型店の攻勢に屈し、無味乾燥なビルに囲まれてくれば来るほど、人が集まり仕事の疲れをいやすのにちょうど良いスペースが欲しくなる。広すぎもせず、そして狭すぎもしないこの広さが、人の心にほどよいくつろぎの場を提供しているのがこの横丁です。
こういう距離感を楽しめる空間が、昔の仙台にはいっぱいありました。表通りは厳つく四角ばった街でも、町裏は魚屋、八百屋、とつけ屋、一杯飲み屋があるというのが日常の風景でした。都市が発展すると整然とした街並みはそれだけ殺風景になりますが、横丁はその無味乾燥な空間に潤いを与えてくれます。この横丁が健在な理由はそんなところにあるのでしょう。