奥州仙台銘菓「支倉焼」
支倉焼で知られている「御菓子処 ふじや千舟」は、時代が変わっても変わらぬものにこだわり続け、今でも「支倉焼」ただ一筋に製造販売しているお菓子の老舗です。昭和24年に現在の本店に煙草屋「ふじや」を開業したのがその始まれです。甘いものに目がなかった先代社長が、その5年後に和菓子職人を招き作り始めたのが「支倉焼」というわけです。
昭和33年に完成した「支倉焼」を携えて上京し、当時食通で有名だった随筆家の福島慶子さんに試食をしてもらいお墨付きを得ました。これを機会に販売を開始しましたが、あまりの人気に品切れになることもしばしばありました。手を広げ過ぎて、間に合わせの品を出したのでお客様に申し訳ない。そこで、数種類作っていた商品を支倉焼一品に絞ることにしました。
支倉焼は、オープンで焼き上げる前の生地がメレンゲのようにとても柔らかいので、餡を手に取り、生地でそっと包み込み、そして「支倉焼」と彫られた木型に乗せるには、絶妙な力加減が必要です。一つひとつ職人の技が求められる繊細なお菓子なのです。もちろん、今の技術をもってすれば機械化は可能ですが、それは支倉焼ではないということでしょう。