硯のふるさと雄勝
硯の原料となる雄勝石として知られている石巻市の雄勝地区、ここも今回の東日本大震災で壊滅的な被害を受け、地区内に10ヶ所ほどあった硯やスレートの工場は全て津波に流されてしまいました。この震災を機に長年住み慣れた雄勝を離れた人も多い。このままでは地域の伝統産業が途切れてしまうと立ち上がったのが東北工芸製作所です。
仙台市にあるこの会社では、転んでも必ず起きあがるこけし「起き上がれこけし」を発売します。こけしの高さは8.5センチで、硯の原料となる玄昌石を粉末にして鉛を混ぜて固めたものを底につめ、頭部に空洞を設けるなどして、確実に起きあがれるように工夫を凝らしています。一つ4,725円で、当面は半年間で2,000個の販売を目標にしているという。
生産は仙台市のこけし職人早坂正弘さんに委託し、売上金の一部を雄勝硯生産販売共同組合に支援金として贈るという。「起き上がれこけし」の名称で、近く意匠登録を申請する予定だとか。付加価値を高めるため、一つひとつに通し番号をつけています。東北工芸は、雄勝硯生産販売共同組合が生産する玄昌石の石皿に漆をコーティングし、製品化してきました。