癒えることのない悲しみ
今日もあの忌まわしい大震災の話をしなければなりません。津波で大きな被害を受けた東松島市大塚地区というところで、飼い主一家と一緒に家ごと流され、2ヵ月半ぶりに見つかったワンちゃんがいます。名前は「まる子」といい、家族4人が津波で流され死亡・行方不明となり、現在は親戚の家に引き取られているということです。
まる子は、7年前に生まれてすぐ保健所に持ち込まれましたが、動物保護ボランティアで塩釜市に住む佐々木美砂子さんに助けられ、縁あって大塚地区で酒屋を営んでいた佐々木亀悦さん一家に引き取られました。震災から2ヵ月半経った5月下旬、まる子が見つかったという連絡が美砂子に入りました。驚いて亀悦さんの家があった場所に行ってみると、まる子がそこにいました。まるまると太っていたので「まる子」という名前をつけたくらいなのに、痩せ細り泥まみれになって、車が通るたびに立ち上がって中をのぞき、一家の帰りを待っているようだったという。
その後、関東に住んでいる亀悦さんの親戚に引き取られましたが、しばらくは食事が喉を通らなかったといいます。家族との楽しいくらしが忘れられないのでしょう。せめて、これからは家族の分まで元気で長生きしてほしいと願うばかりですが、まる子の心境は察するに余りあるものがあります。これがワンちゃん達の生きざまであることを肝に銘じたいものです。