ムサシには数々の拘りがあったが、中でも食べ物にはうるさかったような気がします。特にドッグフードだけは最後まで好きになれなかったようですが、健康を保つためにはどうしても食べてもらわないと困るため、あの手この手の工夫をして何とか妥協してもらうことができましたが、焼肉と比べると美味しくないのは痛いほどわかります。

しかし、ムサシの拘りはそれだけではあれません。病院に行ったとき不安を和らげるために先生がとっておきの食べ物を与えようとしても絶対に口にしません。それは他の人から提供された時も同じで、こちらが恐縮してしまうことも度々ありました。それも、どうやらただ美味しくないからという理由だけではなさそうなのです。

お陰で変なものを口にすることを心配しないですんだのですが、かなりの頑固ものだったので、融通が利かないと思われたかもしれません。ほかのワンちゃん達はよくムサシのおやつを目当てにすり寄ってくるのですが、ムサシはどんなに美味しそうな食べ物を差し出されても全く興味を示さなかったのにはある秘密があったのですが、それは内緒です。