箟峯寺の宮座組織の行事
奈良東大寺の大仏造営に貢献したことで知られている箟峯寺は、涌谷町箟岳(ののだけ)山の山頂にあり、千年の伝統を誇る正月行事が行われます。東北地方では数少ない宮座組織の当屋制による行事で、山岳信仰の代表的なものとされています。正月の第4日曜日の白山祭りにおける弓神事を中心にした民族行事で、東北の庶民信仰をみる上で極めて価値の高いものと言われています。
この行事は、大晦日から始まり、元三会(がんざんえ)、修正会(しゅうしょうえ)、大般若会(だいはんにゃえ)、福田会(ふくだえ)を経て例祭に至ります。箟峯寺境内の白山堂で行われる例祭では、稚児2人が6本の矢を射り、矢の当たり方でその年の天候を占うという「御弓(おゆみ)神事」が行われます。この行事は県の無形重要民俗文化財に指定されています。
箟峯寺は、箟岳観音とも呼ばれ、富山・牧山と並ぶ奥州三観音の一つに数えられ、国指定の史跡「黄金山産金遺跡」「長根貝塚」、県指定の建造物「見龍院霊屋」、「史跡黄金山産金遺跡出土古瓦」「妙見宮拝殿」、その他町指定の建造物が多数あり、万葉歌人大伴家持の産金を慶ぶ歌の歌碑があるなど、万葉北限の地ともいわれています。