ムサシの七不思議(その4)
ムサシは家族との付き合い方について、一つのルールをもっていたようでした。孫たちが来るとどうしてもそちらに目が向きがちになりますが、そうしたことをとがめる様子は全くなく、傍でじっと見守っているだけでした。しかし、そんなにものわかりがよいムサシにしては些か腑に落ちない不可解な行動がいくつかありました。
それは散歩の途中で立ち寄るある場所での変わった行動です。それは、公園を通りかかった時に水を飲む時のあの行動です。そこの水飲み場は、噴水のようになっているため、私が手のひらに水をためて彼に飲ませたのが始まりでした。それが病みつきになったのか、そこを通るたびに催促します。それも半端なおかわりではないのです。
夏場はどうということはないのですが、寒くなるといささか手が凍えてくるので、いい加減にして欲しいと思ったものですが、これだけは譲れないとばかりにおかわりを繰り返します。そこである時、ペットボトルに水を入れて散歩に出かけることにしました。しかし、その水ではだめで、私の手杓でなければ飲んでくれませんでした。