仙台長なす漬け
仙台長なすは伊達政宗の時代に栽培が始まったと伝えられています。明治時代初期に、伊達家が農業振興を目的に設立した「養種園」の記録では、「明治時代、漬けもの用としてすでに優良種子の供給が行われ、早くも産地化が進んでいた」とある。他の産地に移植するとたちまち形が変わってしまったともいわれ、当時は仙台近郊だけで栽培されていました。
仙台長なすの特徴は、へたが小さくて、小さい刺が少しあります。紫紺色が鮮やかで、7cmないし10cmの長さの時に若もぎするとより軟らかく、歯触りがよいので漬けなすにするのに最も適しています。漬け上がったなすを切らずにそのまま丼に入れて出す。これが食卓を彩る逸品で、夏を涼しく過ごすためのちょっとした小道具にもなります。
藩祖・伊達政宗が朝鮮出兵のおり、藩士の一人が博多から原種を持ち帰り、この地に適するように改良したものだそうですが、有名になったのは明治以降になってからです。近年は伝統野菜の生産が下降気味ですが、長なすも例外ではなく今では珍しい存在になっています。それでも一部の農家では栽培が続けられ、漬けものの文化が復活しつつあります。