鳴子温泉 名湯の宿 鳴子ホテル
鳴子ホテルは江戸末期に開湯、明治に入った1873年に高橋萬兵衛が高萬旅館として営業を始めた。当初は尿前の関を通る人々のための馬宿でもあったという。147年の歴史を刻む中で、鳴子の湯治文化を大切にしながら時代に合わせた宿づくりに工夫を凝らしてきた。鳴子ホテルの温泉は100度以上の蒸気源泉が特徴。温泉の湯畑(タンク)に導入して冷まし、入浴に適した42度前後にするのが湯守の腕だ。
また、成分の違う3本の源泉を混合して使用しており、気候・源泉の状態によって湯の色が乳白色やエメラルと色などに変化するのも泊まった時の楽しみになる。泊まってみたい部屋は、紅葉館の露天湯付客室。木製の広いデッキに足湯が設けてあり、気軽に温泉を堪能できる。足が温まると足先から全身の血行がよくなり、元気になる。さらにこの部屋からの眺めはご馳走の一つ。鳴子温泉駅界隈の温泉街、江合川の流れ、その向こうに山々と広い空が見渡せて、気持ちが大らかになる。
料理の味わいは宿に泊まる大きな楽しみだ。料理長の山内博行さんがすすめるのは「かまくら」のお造り。細かく砕いた氷をかまくらの形に固め、中の新鮮な魚介類を盛り付けたもので、四角います型もある。山里の宿で海の幸を味わえるのは得難い贅沢といえる。先代の料理長が開発した手法を引き継ぎ、山内さんがさらに磨きをかけている。女将の高橋弘美さんはやすらぐ旅の宿となるようお客さまを迎えている。「当館は鳴子温泉のよさを満喫できる宿です。ゆっくり滞在なさって心のリハビリテーションになると嬉しいですね」。