Vin-Ya Jete' Ashigaru ヴァン ヤ ジュテ アシガル
江戸時代後期の酒蔵を改修して、飲食をはじめとした店が軒を並べる「醸室:大崎市古川」。中央に鎮座する釜神神社の後ろに続く小道の先にあるのがヴァン ヤ ジュテ アシガルだ。ドアを開けると、その先にアーチ状の開口部があり、さらに奥に、壁一面に貼られたワインのエチケット(ラベル)が見える。オーナーシェフの氏家英貴さんは、JSA公認ソムリエでもある。何気ない会話から、ワイン、ひいては料理への情熱が伝わってくる。氏家さんは、古川生まれ。
大阪の調理師専門学校を卒業後、フレンチレストラン ヴァンサンの神戸支店に配属されました。さらにフランスにも渡り、2年間修業。「期間が限られていたので、シェフに『覚えられるだけ覚えていって』とたくさん教えていただけました。幸運だったと思います」と当時を振り返る。その後、夜遅い時間帯に営業しているお父様の店で腕を振るう。軽めの食事やパスタを希望する常連客のニーズに合わせて、しだいにイタリアンに転向していった。氏家さんは、現在も、より新しい美味を生み出すために、インプットとアウトプットを意識して、研鑽を続けている。
「前菜の盛り合わせ」は、2016年に、在日イタリア商工会議所が主催するイタリア料理コンクールで予選を突破し、本選出場した自信作。西京味噌に3日間付け込んだローストビーフの滋味深さと、大崎市の西洋野菜の華やかさが秀悦。箸でほぐせるほど柔らかい宮城県産和牛ホホ肉の煮込みや、カニの甘さと岩出山産フルーツトマトの酸味が調和したパスタ、宮城県産の玄米「金のいぶき」を使ったリゾットなど、風土の味覚の魅力を引き出している。