みやぎの花:有限会社大沼花店
昭和6年創業の有限会社大沼花店は、戦前から青葉区本町で営業を続けている老舗生花店だ。切り盛りするのは、三代目となる大沼尚嗣さん。店の歴史を伺うと、初代店主であるお祖父さんの写真を見せてくれた。「三輪自動車のような車に乗っているでしょう。市場で花が扱われる前は、生産者のところに行って、直接花を買い付けていたみたいです。岩切に生産者がいて、その方に土地をお貸しして栽培してもらっていた、という話も聞きました。
そのころは県産花100%だったかもしれませんね。一般的な生花では、国産・輸入を問わず、さまざまな品種の花を扱う。そんな中、大沼さんは、なるべく県産花を多く取り入れるよう心掛けているという。また、最近は「県産花で花束を作ってほしい」との要望が増えていると教えてくれた。店内を見渡すと、「宮城県産バラ」「宮城県産カーネーション」などのプレゼントが目に入る。
訪れたお客さんに、県産花の存在を知ってもらい、選ぶ際の指標にしてもらいたいという思いが込められているのだろう。「私は生まれたときから花に囲まれていたので、あまり花を意識したことはなかったんですが、大学生の頃、アルバイト先で無機質なものに囲まれた時に、違和感を覚えたんですよね。言葉に表しにくいんですが、花は、柔らかく、瑞々しい。花がある空間にいると、心が和らぐんだなって。改めて、花の魅力を感じた瞬間でした。ぜひみなさんも、自宅などに花を迎えて、安らぎを感じてもらえたらと思います」。