みやぎの花:JAいしのまき桃生ガーベラ部会
「あらら、まず座らいすん。ジュースでも飲んで」と、花が開くような明るい笑顔で迎えてくれたのは、JAいしのまき桃生ガーベラ部会のみなさん。ガーベラのお話を聞きたいという申し出に快諾いただき、6軒の生産者全戸が出席しての取材撮影となった。質問を投げかける度、冗談を挟みながらもテンポよく回答が返ってくる。家族のように温かな雰囲気に、長年肩を組ながら歩んでこられたのだと感じた。桃生にガーベラ部会が発足したのは平成5年。新しい品目の栽培を模索する中、「周年栽培できる品目」「連作障害が出ない品目」などの条件を満たしたガーベラを選び、栽培を開始したという。現在も、宮城県内でガーベラを本格的に栽培しているのは桃生のみ。
東北最大の産地だ。宮城県内のほか、関東の市場へも出荷している。ガーベラは種苗専門店から苗を購入し、定植から約2ヵ月にわたって育てる。虫がつきやかく、病気にも気を配らなければならないため、出荷までの2ヵ月が非常に長く感じられるという。「部会発足から27年間で一番大変だったこと」を訊くと、やはり病気との戦い」だった。「ガーベラの栽培を始めて2年経った頃、原因不明の病気が発生したんです。後で株枯れ病という病気だと判明したんですが、数年間は生産量が大きく落ち込んで、どうにもなりませんでした。部会みんなで検討した結果、ロックウールという栽培マットが無菌状態であることが要因ではないか、土にいる微生物の拮抗作用を活用できないかという話に至ったんです。
そこで業者と土壌改良を進め、ポット栽培とロックウールマットの折衷栽培にすることで、なんとか乗り越えることができました」。「もうガーベラをやめてしまおうかと何度も思いましたが、今では全国トップクラスの生産量を確保するまでになりました。さっき話が出た折衷栽培は、桃生独自の方式として、結果的に国から表彰されたんですよ」。ガーベラ部会では、1本ずつ丁寧に手で折って収穫することを決りにしている。いしづきを残すように折ることで、バクテリアなどが繁殖しにくく、花の鮮度が保たれるようになるのだという。おそらくこれも、部会のみなさんの試行錯誤、話し合いを積み重ねた成果なのだろう。「なんも難しいこと考えてないよ」と笑うみなさんの、懐の広さと底抜けの明るさに敬服した。