みやぎの花:南三陸町復興組合「華」
南三陸町は、古くから「きく」の生産が盛んな町。東日本大震災の津波で大きな被害を受けながら、生産者が連帯して再興を遂げ、現在再び多彩な品種の輪ぎく、スプレーマムを出荷している。家業を継ぎ、現在2代目としてきく栽培を営む及川誠司さんも、震災を越えて栽培を再開した生産者の一人だ。ハウスや農機具が流出し、多くの輪きく生産者が営業中断を余儀なくされる中、及川さんを含む4人の輪ぎく生産者が立ち上がり、南三陸復興組合「華」を設立。
被害を受けた生産者に、農業用施設をリース方式で貸し出すシステムをつくり、農業再開の負担を大きく引き下げた。地域の特産を、長年培ってきた栽培の知識や経験を失わずに済んだことは、どれほど多くの人を勇気づけただろう。ハウスの中に入ると、きく特有の凛とした、清々しい香りに包まれる。バラやカーネーションと同様、きくも2~3分咲きの状態で出荷されるため、ハウス内は見渡す限り濃い緑。
普段はあまり気にしない"葉の形"に目がいく。「きくの評価は、葉ありきなんてすよ。葉が美しくなければ、評価が下がる。つまり、市場で評価が下がるということです。美しい葉の基準は、艶があって、形も整っていること。でも、実際には成長が早いもの、遅いもの、少しずつ差があって、同じように育てることは難しいんでよね。背の高さも、花が咲くタイミングも、ほぼ同じになるように育てられたらうれしいですね」。