わさお君逝く
今年3月29日に亡くなった志村けんさんは、番組の収録で青森県をたびたび訪れた。不細工だけどかわいい「ブサかわ」で有名な鯵ヶ沢町の秋田犬「わさお」は、志村けんさん司会の番組に出演し、人気を集めた。住民らでつくる「わさおプロジェクト」代表の工藤健さんは「会いに来る人が『テレビでいつもわさおを見ているよ』と言ってくれるのが飼い主の励みになっていた」と語る。2014年11月に志村けんさんがわさおのもとを訪れた当時を振り返り、「ロケ中に虹が出て、運の強い人だなあ、と思っていた。きっと戻ってくると信じていた」と言葉を詰まらせた。同年2月には「田子町ガーリックセンター」を訪問。今年3月放送の番組では「にんにくラーメン」を「おいしかった」とPRしてくれたという。センターの佐藤恵子総務課長は「偉ぶったところがない人だった」と惜しんだ。近年は、わさおも足腰が弱り、歩くのも難しい状態になっていた。わさお君の推定年齢は13歳で、人間でいえば90歳ほどとの高齢で、ボクの終末期と同じだったことになります。体調には波があるものの、食欲はまずまずで元気に吠える時もあったという。
日中は町内のイカ焼き店で過ごしており、訪れる人を温かく迎えていた。ところが、わさお君は、1月ごろから日課にしていた1日3回の散歩で立ち止まることが増えてきたという。4月に入ってからは急激に足腰が衰え、寝ている時間も多くなった。問い終えたとはいえ、イカ焼き店に姿を見せるのは、生活のリズムを崩さないようにするためだ。以前、飼い主だった菊谷静子さん(2017年死去)の入院でわさお君が施設に預けられた際、ストレスから毛が抜け落ちたことがあった。その経験からも「わさおの生活環境を変えてはいけない」と節子さんの長男・忠光さんは語る。町民の善意で寄せられた紙おむつを使いながら、わさお君の世話を続けている忠光さん。「わさおは母親の忘れ形見。母の面倒を見ることができなかったので、一種の親孝行」。新型コロナウイルスの影響で外出自粛の要請が続く中、「わさおのことが気になる人もいると思うが、温かく見守ってほしい」と呼びかけていた。映画やテレビ番組の出演などを果たしたわさお君。「わさおプロジェクト」代表の工藤健さんは、『わさお引退』と表現する人もいるが、わさお自身は芸能活動をしたという意識はないはず、マイペースなスタイルは今も変わらず、まさに『伏してもわさお』です話す。
このようにして、彼なりに懸命に生きたわさお君ですが、多臓器不全のため今年6月8日亡くなったと報じられた。青森県の地方紙・東奥日報の公式さいとに設けられたブログ「わさお通信:今日のしっぽ」では、コメディアンの志村けんさんが亡くなった後、わさおが体調を崩す姿が伝えられた。志村さんの訃報の日「急に動かなくなってしまいました」。わさおは鰺ヶ沢のイカ焼き店店主・菊谷節子さんの元で育てられた。元は捨て犬の秋田犬。3月29日に志村けんさんが新型コロナウイルスにより亡くなると、3月30日には公式ツイッター「わさお公式」で、「訃報に接し、動揺しつつわさおを散歩に連れ出したところ、急に動かなくなってしまった。何かを感じ取ったのかもしれません」、とその様子が伝えられた。このとき、「わさおの身になにか異変がおきたということではありません」としていた。その後、4月19日の「わさお通信」では4月に入りわさお君の足腰が急激に衰えてしまったということです。なんとも悲しい物語ですが、わさお君にとっては充実した生涯だったに違いありません。そのことはボクが保証します。