オヤジの消費増税対策
10月1日から消費税が2%増税されることになりました。これを受けて巷では様々な節税対策が打ち出されているようです。その中でもクレジットカードその他のカードで買物代金の決済をすると、5%程度の還元があるという賢い買い方が連日のように報道されています。もちろんこれらの対策は、増税によって消費が急激に落ち込むことを防止するための短期的な措置で、来年の6月までということになっているようです。もしも、これらの還元手段を国民全員が用いることがあれば、当然、全体の税収はかえって減少する理屈ですが、さすがにそれはあり得ないという前提で考え、制度設計をしているのでしょう。現にわが家のオヤジなどは、消費増税にあまり興味を示していません。オヤジの考え方はこうです。今回の増税は、100円の買い物をすると従来は8円の消費税がかかっていたものが、110円支払うことになるわけですから、どうしてもこの2%の負担が重いというのであれば、今後は108円で買える分だけ買う、つまり、税抜き98.18円(108円÷1.1)分の買い物で間に合わせればよいことになります。
しかし、現在の税抜き価格100円の商品が減量などでして98.18円の価格の商品にして売るのは難しいでしょうから、そうした場合は、100回買っていたものを98.18回に減らすことで対応できるようにすれば、増税分をすべて回避できる計算です。しかもこれらの商品が高額の食品や嗜好品である場合は、メタボを減らし生活習慣病などの予防にも寄与するというレアもののプレミアム付きということにもなるかもしれません。そうすれば、中高年の医療費も大幅に削減され、増税の目的である社会福祉費の軽減にもつながることになり、今度は減税に舵を切れるかもしれません。そんな夢のような話にはならないでしょうが、私たち国民も、それぞれの立場で自衛策を講じる必要性を認識しなければなりません。増税は反対、されど年金の減額は反対というのでは、国が成り立ちません。そもそも、増税分を負担するのも、その恩恵を受けるのも私たち国民です。人間は、こうしたパラドックスのオンパレードの社会で生きているものですから、今更それをエゴと避難しても始まりません。要は個人個人が、それぞれの立場で自衛策を講じることで、政治に対する意思表示をすることでしか、公平な世の中を築くことはできないのです。
ところで、今回の優遇措置はかなり解り難い。カードやスマホ決済になれた若者には便利かもしれないが、その分危うさも見え隠れする。例えば、これらの決済方法は便利であることは間違いないかもしれないが、膨大な個人情報がカード会社などに蓄積され、それがビッグデータとなって、消費者の首根っこを掴まれてしまい。購買情報や財布の中身をのぞかれるような気がします。もちろん、消費動向や購買行動を把握することで、より詳細なニーズを把握できるため、開発や品揃えに役立たつこともあるだろうし、消費者の利便性にも寄与するでしょうが、やはり、消費者は企業の掌の上で、常にコントロールされているといった構図は、われわれの自由度が著しく束縛される感じがして、公正な取引が疎外されるという不安は否めません。つまり、国は、2020年のオリンピック東京大会に向けて、キャッシュレス決済が主流の外国人に対するサービス向上という大義名分を掲げているが、本当のところは、国民の担税力を把握したいというのが本音のような気がします。そのため、オヤジは、あまり流行りものには乗らないようにしているようです。