スーパーボランティア尾畠さんの勇姿
先月末に北九州北部を襲った大雨は、佐賀県武雄市や大町町などに大変な被害を及ぼしたことがテレビで報じられました。被災した皆様には心からお見舞い申し上げます。浸水した家屋では泥をかきだし、壊れた家具を片づける姿が痛々しく、8年前の大震災と重なり、あらためて自然の驚異を思い知らされました。ただ、県内外から大勢のボランティアが駆けつけてくれたことは心強い限りです。そして、その中に、白いヘルメットと赤いつなぎがトレードマークで知られる、あのスーパーボランティアの尾畠春夫さんの姿を見つけ、心が温まる思いがしました。79歳という年齢を考えると、並みの人なら、心はあっても足腰が痛みボランティア活動など到底できないだろうに、相変わらず元気で活躍している姿は何ともまぶしく、元気をもらいました。また、記事によると、9日に東京で行われる防災担当大臣表彰式に招かれていましたが、被災地に行くことを優先するといって出席を断ったということです。氏の哲学からすると当然のことなのでしょうが、何ともと男気のある決断をするものだと改めて感服しました。
毎日のように報じられる、子供への虐待や危険な煽り運転の話で、暗くなりがちな心に、一筋の灯りがともったようで、何とも爽やかな気分になりました。大雨の直後に一度現地に入り、一度帰って今回また訪れ、車内泊をしながら14日までボランティア活動をするということですが、どうか体をいたわってあげてください。尾畠さんの志は、十分にみんなの心に伝わり、若い人たちに受け継がれていくはずですから、尾畠さん自身は、元気な背中を見せるだけで十分だと思います。むしろ、これからは、「どうしたら健康寿命を長く保てるのか」という高齢社会の課題について講演活動に重点を置かれたらどうでしょう。でも、「困っている人を助けるのが仕事だ!」といって断るかもしれませんね。「手に取るなやはり野におけ蓮華草」とい昔の言葉のとおり、人にはそれぞれ、もって生まれたキャラクターというものがあり、それを存分に発揮する方が、自分が最も輝くことでもあり、社会のためでもあるのかもしれません。できれば、ボクもボランティア活動をしたかったという思いがあり、ついで過ぎたことを云ってしまいました。
それにしても、近年の気候変動はいったいどうなっているのでしょう。1ヵ月間に降る雨量を上回る雨が1時間足らずで降るというのですから、想定外などという言葉では到底説明できない猛威ですよね。「命を守る行動をとるように」という最高レベル警報が出されても、実際にどのような行動をとればいいのか、見当もつかないと思う人も多いのではないでしょうか。津波の時は一目散に高台に向かうというのが最早常識になっていますが、豪雨の時は、自宅の二階や屋根の上しか行き場がないことになりそうです。もしも、地震と津波、台風が一緒に来たとしたら、いったいどうしたらよいのでしょう。あの大震災を経験した私たちには、決してあり得ない話ではないように思われてなりません。今では、防災というより減災に力を入れるようになりました。その具体策といえば、失うものを少なくするということしかあれません。しかし、これも味気ない話です。家具を欲しいと思っても、失うことを想定すると、なかなか手が出ません。それでもこの日本から離れようとは決して思いません。オヤジもお母ちゃんも、もちろんボクもここが大好きなのです。