仙台ウナギ屋元祖 大観楼
夏の元気といえばウナギだ。創業1822年(文政5年)、仙台ウナギ屋の元祖として知られる「大観楼」。お昼時の一番忙しい時に調理場をのぞいてみると、香ばしく焼きあがった蒲焼が次々お重に詰められて運ばれていく。親方の戸村克夫さんは15歳のときに店に入り、今年で61年を迎えた。周りのスタッフから「レジェンド」と尊敬と親しみのこもった声が上がる。「年がばれちゃう」と茶目っ気のある笑顔を見せつつ、炭台のウナギを無駄のない動きで仕上げていく。
使用する愛知県産の養殖ウナギは、地下100mからくみ上げた井戸水に放され、旅の疲れを癒す。「井戸水に浸って元気になったウナギは使うその日の朝に裂き、よい炭を使って焼く。うまいウナギ屋の条件を守っています」と代表取締役の遠藤真一さん。井戸は震災の影響で一度はかれたものの、新たに堀り直したとのこと。ウナギ以外の食材も吟味し、有機栽培米や野菜は地場のものを積極的に使う。スタッフはみな和の所作を身に付けるために茶道を嗜んでいるそうだ。
細部にわたる心づかいに、百年を超える伝統を受け継いでいくものの衿持があった。天然ウナギについてもそのひとつ。二ホンウナギは生態が詳しく解明されておらず、資源の枯渇が危ぶまれている。「天然のウナギは資源。養殖ものは親になる天然のシラスウナギがいなければ成り立ちません。専門店として天然のウナギは使わず、ウナギの食文化をお客様と一緒に守っていきたいですね。