どれが正解なのでしょう
いま、新幹線のリクライニングシートの角度を巡ってちょっとした議論が巻き起こっているという。それは、このリクライニングシートを「どれくらい倒したら後ろの席の人を怒らせてしまうのか?」という議論のようです。常識的な意見は、「ちょっと会釈をする」「せめて目配せをして許しを請う」と言うのが多かったようです。なかには、「後ろの人の迷惑になるので、シートは全く倒さない」と言う昔気質の人もいました。その一方で、「ゆったりと寛げるということがウリでJRが採用したのだから、JRが使い方のガイドラインを示すべきだ」という意見もありました。
相棒のオヤジは、「そんな議論はナンセンスだ。自分が後ろの席に座っていたら、どれくらい倒されたら迷惑に感じるか考えみればいい」といいます。しかし、逆に言えば、この考え方は「自分が迷惑に感じない程度であれば、ほかの人も迷惑ではない」ということになるので、やはり正解ではないようです。また、前述のちょっと会釈をする」「せめて目配せをして許しを請う」というのも、一見奥ゆかしいように見えますが、実は、わがままを断行しようとしているわけですから、無礼千万だと思う人もいるような気がします。つまり、許しを乞うたのだから、有無を言わせないという高を括ったやり方だからです。
どれも正解でないとすれば、やはり、「後ろの席の人が迷惑に感じない程度の傾きとはどの程度なのか」を科学的に検証してみて、適当だと思われる角度で止まるように設計し直すのがベターなのではないでしょうか。もちろん、人によって不快に感じる角度は様々ですから、賛否両論はあるでしょうが、少なくても、そこまで顧客に気配りしているという姿勢を示すことで、利用者の気持ちは和らぐと思います。それ以上の議論はないものねだりであり、議論好きの人に任せておけばいいではないでしょうか。