新緑に映える藤の花
先日、お母ちゃんの休みに合わせ、三人で鳴子方面に出かけました。その日はあいにくの雨模様でしたが、ある目的があったので予定通り出かけることにしました。鳴子方面ばかりでなく、これまで何度も出かけているので、途中の景色はいつも見慣れたものと思い込んでいました。ところが、車を運転しているお母ちゃんが、しきりに、5月頃に鳴子方面にきたことがあったかな!と居眠りしているオヤジに、しきりに聞くのです。
無精もののオヤジは、いかにもめんどうくさそうに、さあどうだったかな!と素気なく答えるだけでした。普通の人であれば、これで会話が途切れてしまうところなのでしょうが、こんなことでめげないのがわが家のお母ちゃん。しばらくすると、すぐにまた同じ質問を繰り返すのです。するとオヤジは、そういえば、今頃の季節に来たのは初めてかも知れないな!と珍しくまともな返事をしたので、ボクは思わず笑ってしまいました。
何時もなら、「しつこい」とか「くどい」とか言うはずなのに、意外にも穏やかな返事だったからです。もしかすると、オヤジも年を取ったので丸くなったのかな?と思い少し複雑な気持ちになり、吹き出す笑いをこらえてしまったのです。しかし、オヤジには、お母ちゃんが何故おなじ質問を繰り返したのか、そのわけが分かったからでした。そうです。沿道の山々には、色鮮やかな藤の花がそこかしこに咲き乱れていたからです。お母ちゃんが、その景色を見せたかったのだということに、オヤジは気がついたというわけです。