郷土料理「あざら」
気仙沼を代表する郷土料理「あざら」は、白菜の古漬けを酒かすや魚のあらと一緒に煮たのち、味噌などで味を調えた一品です。そのレシピは各家庭で異なりますが、ご飯のおかずにも、酒の肴にもピッタリの故郷の味です。「あざらの材料は、酸っぱくなった白菜の古づけや魚のあらで、食材を無駄にしないという昔の人の思いが生んだ料理です」と話すのは、水産品の加工・販売を行う「斉吉商店」内にある「ばっばの台所」で家庭料理を提供している斉藤貞子さんです。
冬の献立にあざらを取り入れていて、初めて食べる観光客の皆さんからも好評だそうです。あざらの歴史は明確ではありませんが、白菜漬けをお裾分けできるほど大量に仕込む家庭が多かった時代に、余った古漬けを有効に活用しようと、地元で捕れたキチジやメヌケなどのあらを酒かすを使い作られるようになったとされています。白菜の古漬けをしんなりするまで煮たら魚のあらを入れてさらに煮て、酒かすを加えて全体を混ぜ合わせます。
鍋から立ち上がる芳醇な酒かすの香りが食欲を刺激します。斉藤家では、地元の酒蔵・男山本店の「蒼天伝」の酒かすを使用しているそうです。隠し味の味噌で味を調えたら完成です。「若い奥さんがいる家庭では、あらの代わりにツナを使うこともあるそうで、気仙沼の昔ながらの味が、各家庭でアレンジされながら受け継がれているのがうれしい」と斉藤さんはほほ笑む。気仙沼市在住の参加者が、各家庭自慢のあざらを紹介する「第4回あざらグランプリ」が2016年2月21日(日)、気仙沼さかなの駅で開催されます。