久しぶりに逢ったコロ君
オヤジは少し体調を崩したこともあり、散歩もこれまでのように毎日に続けられないようになってきました。それでも体力を維持するために少しでも歩こうということで、ボクとおしゃべりしながら外に出てみました。すると偶然にもコロ君に出会うことができました。コロ君!と大きな声で叫ぶと、コロ君のお父さんが気つき、かなり遠くにいたにもかかわらず、ボク達のところへ戻ってきてくれました。もちろん、ボク達も駆け寄りました。
コロ君が光を失っていたことはわかっていましたので、以前のようには喜びを表現できないことは承知していますが、それにしても少しそっけない感じがしました。それでも、オヤジは以前にもまして、コロ君の背中をなでて、頑張れよ!と何度も大きな声を掛けました。オヤジにしては珍しい姿でした。というのも、普段は、「精一杯頑張っている人には、頑張りすぎるなよ!と声をかけるべきだ」などとわかったような話をしているからです。
家に戻ってそのことをオヤジに聞いてみると、オヤジ曰く、何故か子供のころに読んだ、森鴎外の小説「山椒太夫」に出てくる、安寿とづし王を探し続け、盲人となってしまった母親を思い出したのだという。立派に成人したづし王と再会したにもかかわらず、全く息子とは解らない。何とも悲しい物語でした。でも、コロ君とは全くつながらない話なのですが、あんなに、愛くるしかったコロ君の姿とづし王の母が重なったようです。相棒のボクとしては何となくその気持ちわかります。