憎たらしいビニール片
うちのオヤジは、結構神経質なところがあり、床にゴミが落ちていたりすると、死ぬほど忙しいときでもそれを拾おうとします。そのオヤジが、先日、「床にゴミが落ちているぞ!」とお母ちゃん向かっていうのです。それなら「自分で拾えばいいのに」とお母ちゃんは言いたそうでした。そうした切り返しはお母ちゃんの得意技ですから当然のことです。しかし、今回に限ってはボクもお母ちゃんの意見に賛成です。
何故かというと、オヤジは、ゴミが落ちていると思われるすぐそばにいるのに、遠くで忙しそうに動き回っているお母ちゃんに呼びかけるのは、あまりに横暴だと思ったからです。見かねたボクは、"自分で拾ったらいいのに"と、少し憮然としてオヤジに言ってしまいました。お母ちゃんはにっこり笑いながら、「ムサシ、よく言った!」と満足げでしたが、当のオヤジは、特に怒っているような様子には見えませんでした。少し重苦しい空気は流れましたが、その場はそれで済みました。
それら数日たったある日、オヤジはとうとうあの「憎たらしいゴミ」を拾ったのです。その正体はやはり透明のビニール片で、キッチンの床にピッタリとへばり付いていたため、ある角度から見ると、ゴミが落ちていることが解るのですが、近くにいってみると見えなくなってしまいます。オヤジが言うには、何度か自分で挑戦してみたが見つからなかったので、「床にゴミが落ちているぞ!」と叫んでしまったというのです。そういう「憎たらしいゴミは」、みなさんの家庭ではありませんか?