蜜入りゆべし
ゆべしは羊かんや最中と並んで、日本を代表する和菓子ですが、ゆべしの中に黒蜜が入っている「蜜入りゆべし」は最近あまりお目にかかれなくなったような気がします。仙台市若林区連坊小路の連坊商店街で、70年以上も「蜜入りゆべし」「上生菓子」「どら焼き」「薄皮まんじゅう」などを作り続けているのが山内一二さん経営の「山平和菓子本舗」です。
仙台ゆべしというと、四角いものが多いのですが、この店では、笹の葉を丸めたような形に黒蜜が入っているのが特徴です。ゆべし独特のもっちりした生地は、餅粉、上新粉、小麦粉、砂糖,醤油などを混ぜ合わせてこね、2時間以上も蒸した後、一個ずつ手で形成しながら中に黒糖粉を入れ、仕上げに10分ほど蒸してクルミを乗せれば出来上がります。
醤油味とごま味の2種類がありますが、ごま味は、生地を混ぜるときに擦りごまを加えるだけの違いですが、最初にじっくり蒸せば、べたつきがなく程よい食感が生まれるのだそうです。そして、仕上げの際の蒸しは、黒糖がこぼれないように蒸加減を調整するのが大事ということです。昔から変わらない味は、このような伝統によって支えられているわけです。