青根御殿湯
青根温泉は、遠刈田温泉から5㎞ほど登ったところにある静かな温泉地で、アオヌキという木の根元から温泉が湧き出していることからその名がつけられたという。1528年に発見されたこの温泉は、伊達藩の保養所「青根御殿」として知られていますが、現存する建物は昭和の初期に建てられたもので、慶長時代に造られた流山山水の庭は見事なものです。
高台に立てられているこの建物からは、青葉城や遠く松島、金華山も望めたということです。そのため、有事の場合には狼煙を焚いて合図をしたとも伝えられています。現在は、伊達家ゆかりの資料が展示されていますが、旅館にお願いすれば案内してくれるということですので、温泉につかりながら歴史に親しむというのもちょっとお洒落かもしれません。
我々温泉寄りの紅葉台から眺める濁川渓谷の新緑と紅葉は最高ですが、ここはまたあの山本周五郎の名作で有名な「樅の木は残った」を執筆した場所でもあり、その時の樅の木も近くにあります。さらには、近くにある共同浴場「大湯」には与謝野晶子がここを訪れた際に詠んだ「青根なる大湯の中に我が倚るは昔伊達衆の倚りし石段」の歌も残っています。