ドンコ汁
「ドンコ」の正式名はエゾイソアイナメといい、北日本に多い魚で三陸沿岸以北ではあまりなじみがない魚といわれています。沿岸の浅場から水深200mの水域の天然礁や人工漁礁に多く棲み、宮城県内では主に石巻港と気仙沼港に水揚げされますが、平成14年の350tをピークに年々減少しているため、食卓にのる機会も少なくなってきています。
ドンコは11月から翌年の2月にかけて美味しくなるといわれていますが、縁起魚でもあり、気仙沼地方では、大漁や商売繁盛を祈願して、恵比寿講の日に神棚に吊るし、それをドンコ汁にして食べる風習があります。成長したドンコは体長40cmほどになり、口が大きく、腹が膨れて丸々としている割には、意外にも尾は細くて小さい変わった形の魚です。
この体つきの特徴から、大きな口は財布のがま口に似てどんどんカネが入り、小さな尻から出ていきにくいのでカネが貯まるというわけで、縁起ものとなったのでしょう。これからの季節、ドンコは身がしまり、肝も脂がのって一段と美味しくなります。身はやわらかく崩れやすいですが、味は上品なので、熱々のドンコ汁で食べるのが一番でしょう。