早い決断と行動
東日本大震災を巡る話題は尽きることがありませんが、自分たちの体験についてはあまり話さないようにしてきました。それというもの、2011年3月11日の私たちの行動が少し滑稽であったことと、あまりにも幸運だったことを話すべきではないと判断していたからです。しかし、釜石の小学児童達の行動がテレビで紹介されるのを見て考えが変わりました。
あの日、地震の揺れが治まったので、本箱から飛び出た書籍類を元に戻そうとしていましたが、"津波が来るので早く非難してください"という大きな声がしました。そこで私は、ジョギングシューズを手に持ち、コートを羽織ってサンダルがけで家を飛び出し、近くの避難場所(国の合同庁舎)に駆け込みました。4階の部屋に入ると廊下から聞きなれた声が聞こえてきました。
それは家内でした。どうしてここへ辿りついたのかは詳しくは聞きませんでしたが、あと数分遅れれば、確実に津波に飲み込まれたはずです。国道を避けて裏道を走ってきたことが難を逃れた最大の原因だったようですが、それにしても危険な賭けだったことには違いありません。今後は釜石の子供たちから学んだ教訓を忘れないようにしようと思います。