特別純米酒「 ひやおろし浦霞」
塩釜市の佐浦酒造では、冬から春にかけて造られた新酒に、春に火入れし、ひと夏を越して秋口になると「ひやおろし浦霞」が出荷されます。ほどよく熟成させて旨みがましたところで、生詰めされるひやおろしは、蔵出しの風味がそのままで愉しめるお酒として人気があります。ひやで良し、ぬる燗でもよし、初秋にぴったりな至高の味覚です。
あの東日本大震災から1年半、震災後に仕込んで出荷する初めての「ひやおろし浦霞」とあって、杜氏の皆さんの期待は大きいようです。震災では、築約145年という蔵は、土壁も発酵タンクも多大なダメージを受けましたが、蔵の太い梁や柱はびくともしませんでしたので、300年の酒造りの伝統も揺らぐことはなく、心を一つにして再興に向かいました。
「ひやおろし浦霞」は、宮城県産ササニシキ100%を原料に醸されますが、昨年の秋に収穫されたササニシキは酒造りには最高の出来だった。「酒造りの最後の決め手は、チームワークです。昔から蔵人達が酒造りの歌を歌い櫂の運びを合わせたように、あの震災を経験して、旨い酒造りへ向かう皆の気持ちが強まりました」と杜氏の小野寺さんは話しています。