農家手打ちそば「きさく苑」
広間の柱や見事な装飾を施した欄間、昔の家屋から切り取って造ったというどっしりとした日本家屋、それがこの店「きさく苑」です。店主は、長年松島の一の坊の板場で経験を積んだ菅原善光さです。日本料理調理技能や師範の資格を持つほどの腕前で、本格的な割烹の技を盛り込んだ料理は、あらゆるこだわりを見せていますが、値段は良心的です。
毎日手打ちする蕎麦は、時節によって最善と感じるそば粉を店主が選ぶのだという。この時期のそば粉は、「常陸秋そば」です。このそばは二八そばで、細打ち麺ではほどよい歯ごたえがありながら、ツルツルと食べやすく香りも抜群です。そばつゆは思考錯誤の末、鰹と昆布だけのシンプルものですが、研きあげられた味わいがあります。
また、小鍋を熱して最後まで熱々をいただける「鴨南蛮」は人気の一品だそうです。鴨肉の濃厚な旨みが溶け出したつゆそばは絶品です。つけ合わせのセリやミョウガを入れて鍋風にして食べるのもいい。生姜が香る、とろけるような肉団子も絶品です。そして、器の使い方にもこだわっています。季節感に配慮するなど、匠の心意気が随所に感じられます。