骨董・古美術 大坂や(青葉区一番町)
繁華街、サンモール一番町内の「いろは横丁」。重い格子戸の奥は、古い和食器などを中心に、時の流れが磨き上げた品々が、麗しい小宇宙を作っていた。「伊万里焼や九谷焼、漆器は輪島塗や京塗が多いかな。年代は若くて大正、古くは江戸期。1点だけ室町の古設楽もあります。まずは見て触れて、感じてみてください」と、大坂英之店主。柔らかい質感、優しいフォルム、手筆に映る花鳥風月の心......。西洋のガラス器などもある。限られた空間ながら、それぞれ気品があるせいか、静かな調和を見せる。
「家の棚に飾るもよし、食卓で普段使うもよし。日常が少しだけ楽しくなりますよ」。大坂さんは1983年からファッションブティックオーナーを務めていた。「仕入れついでに好きな骨董を集め、店に飾っていました」。その後、服飾業界の改変を見届けて業態替え。古美術・古道具専門で二十数年経つという。これまでの履歴を伺い、なるほど内装・インテリアや商品レイアウトまで、全てがお洒落な理由が納得できた。「うちの場合、古くても状態がいいもの、汚れのないきれいなものにこだわっています」。
古伊万里の小鉢、ボヘミアンの水差し......説明を受け値段を聞くうちに、あれ?求めやすい!? 「相場はあっても私は私、独自の値段。薄利多売でやってきました」。関西のブレーンに頼むなど、仕入れコストを抑え、良品を極力リーズナブルに届けたいとのことだ。大阪との関係を聞くと、「大坂家は石巻で江戸時代から続く家柄です。境港に通う廻船問屋、燃料屋もやりました」。地元の名士として大阪・住吉大社に常夜灯を寄贈した記録も残る。「もっと前のルーツは関西かもしれません」。品選びに迷ったら相談を。大坂さんのセンスが、買い手に"映える"道具を提案してくれる。