SANNPO 古道具店(青葉区川平)
住宅街の通りに面し、つい足を止めたくなる趣のある外観だ。代表の石川彰烈さんによれば、当初はネット販売だけのつもりだったが「ここで修理作業をしていると、通行人が立ち寄るようになってしまって」という。思い切って店舗にしようと開店したのが、震災直前の2011年2月。紆余曲折をどうにか乗り越え、創業からはや二十年となる。食器棚にショーケース、照明、ガラス類......。主に東北の古い家具や道具というが、"和"の印象は少ない。「無垢材の木目がきれいに表れるまで研磨した家具が多いです」と石川さん。
なるほど、古さにも木目がいかされ、新しい魅力が加わっている。古さをいかしつつ素材やデザイン性を大事にし、古家具の魅力を引きたてている。古道具好きが高じ、全て独学で起業。「使うほど部屋にも使い手にも馴染み、味わいが出て愛着も湧く。日本の古い家具は作りが良いので、定期的に手を加えれば末永く使い続けられるのです」。オーナーでありながら、売りたくない品が多々あるというのも、石川さんの古道具愛が見て取れる。「季節ごとの光を演出するガラス器。これからの夏が楽しみです」とは妻の多恵美さん。
このショップを担当しており、感性豊かな主婦の目線を大切にしたいという。「小さな雑貨や木箱なども、あれこれ工夫して、暮らしに取り入れてみては」。下駄箱の木札、白木の木製椀、竹籠......。過去に戻ったり、現在から未来に進めたりと、時間を旅するのも楽しい。古道具は数が限られるため、仕入れは年々厳しくなっている。実家に眠っているものはないだろうか? 「買い付けを承ります」。扱う品々は、店舗什器としてニーズも高いという。「受け継いだ貴重な道具ですから、次の時代にしっかり伝えていかなくては」。石川さんは自身にも言い聞かせるように、言葉を結んでくれた。