ユーズドファニチャー&テーブルウェアHYGGE-ヒュッゲ(2)(青葉区支倉町)
「お客様が決まってから、相談して仕上げます」。余談だが、沼倉さんは、これまで長い間、世界の家具と向き合ってきた。「日本家具は壊れないよう頑丈に作られているのに対し、イギリス家具は修理することを前提につくられているので、直しやすい。フランス家具は日本に近いものの、製作が若干大雑把な印象を受けます」。お国柄に触れる興味深い話だ。店名「HYGGE」はデンマーク語で"心地よい"という意味だ。「北欧家具を扱う店として始めたものの、もう少し趣のある家具に興味が出てきました。嗜好の変化です(笑)」。一階の小さな部屋に行くと、食器などのキッチングッズがすっきりと展示されている。「ここが最もアンティークショップらしい、女性好みのコーナーでしょう」と沼倉さん。
どこかで見覚えのある白磁の食器は、フランスの著名なサルグミンヌ窯、60~70年前の品という。感触がやわらかく、曲線のデザインもやさしい。ガラスがゆらいで見える瀟洒(しようしゃ)なグラスも多数。「今回だけおまかせで送ってもらったものです」。コロナ禍での措置だが、自分セレクトではない品揃えの面白さを実感しているという。2階の一角、ハンガーに掛かっているのは男女用ヴィンテージウエアの色々だ。「フランスのアンティークフェアなどで、私が直接買い付けたもの。状態やサイズを確認しないと」。ジャケットやブラウス、A.P.C.ブランド、水兵隊セーラー服まであり、どれもセンス良く着こなせそうだ。
「ヨーロピアンヴィンテージウエアを好む方は多く、うちの商品はリーズナブルだと喜ばれます」。シューズやバッグ、小物類も沼倉さんが直接買い付けてきたもの。ある程度型が決まった家具とは違い、日本人の繊細な嗜好は海外では理解できないだろう。沼倉さんに、改めて店のPRをお願いすると、「変なもの、変わったものがあります(笑)」。前述の図面や標本に加え、朽ちかけた家具のオブジェ、重くて使えない巨大レードル、アフリカのお面もある。「求められる方も少なくないですよ」。使わなくても手元に飾っておきたいもの、そばにあるとうれしくなるもの......。好みはひとそれぞれで、まさしく"美しいガラクタ"の世界だ。「インテリア全般のコーディネートも気軽に相談ください」と、おだやかに語ってくれた。