ローズボールアンティークス(1)(若林区伊在)
僅か半間サイズの扉から入ったはずなのに、夢かと見まがうほどの、巨大かつノスタルジックなアメリカンワールドが広がっている。古めかしいレジスター、派手なパブミラーや看板、家具や工具なども多彩に並び、郷愁がふつふつと湧きあがってきた。「2年前に改装し、フロア面積が320㎡になりました」と、スタッフの阿部和貴さん。買い付けた品が先日届いたばかりなので、量的にはかなり豊富かも」。品揃えは、古くは1900年代初頭から、50年前となる1970年代のアメリカのアンティーク雑貨やヴンティージ家具、什器など。
一般客向けのほか、店舗オーナーや設計業者向けの卸販売にも力を入れているという。商品群は大きくカントリー、インダストリアル、ミッドセンチュリーに分けられる。北欧の影響を受けたという1940年~60年代ミッドセンチュリーのコーナーを案内してもらうと、昔のアメリカンホームドラマや映画のシーンそのものだ。色彩豊かな家具、デザイン性が際立つランプや時計など。「当時日本人が憧れた生活道具だけど、現地では今も人気が高いです」。阿部さんによると、アメリカ人は大雑把なようで、古い物を大切にする気持ちは日本人より強いかもしれないという。
「家具など技術力は日本が上でも、アメリカ製は大陸ならではの頑丈さがあって、長く使い続けますよね」。コーナーには北欧テイストの米国製、輸入品の北欧製どちらもあるといい、いかにもお洒落でポップで、心がはずんでくる。最近のキャンプブームのおかげでアイロン台が人気? 聞けば、折りたためる木製のアイロン台は、どこにでも持ち運べ、アウトドアテーブルにぴったり。これに合わせ、三脚やコールマンブランドのヴィンテージランタンもよく出るという。「ランタンは、自分で修理したいという方もいるので、あえてリペアしないものも置いています」。改めて、時間が磨いてきた古い物たちの存在意義に敬服したくなる。