手打ちそば 今仁 imagine
音楽とビードルズを愛し、思いやりを大切にする店主が若林区今泉で開業した手打ちそばの店。店名の由来は、大方の想像通りだろう。庄司正一店主が秋田県湯沢市で修業した蕎麦打ちは、"二八・丸のし"。そば粉8割、つなぎ2割で捏ねた生地を、大きな板の上で丸く薄く伸ばし、包丁で切る。さて茹で上げ、冷水で締められたそばが登場。どこまで丁寧に薄く伸ばしたのだろうと思うほど、白く色白の麺だ。
早速いただくと、喉腰の優しさがきわだつせいか、そばの淡い香りとともにどんどん入ってしまう。だしが効いたそば汁は、きりっと濃いめ。ちょい浸けがお勧めた。天ぷらもまた、薄い衣で彩りよく、からりと揚がっている。自家栽培農家や近隣で獲れたものといい、体が喜ぶ美味しさ。かつて庄子さんは、県南の山里で自然卵養鶏と野菜づくりを生業としていた。しかし、震災・原発事故の土壌検査の結果を受けてやむなく廃業。
そこから、そば打ちを習い自宅を改装、2018年夏の開店にこぎつけた。音楽ライブなどアーティスト活動も行ってきたという庄子さん。「日本伝統の素材を生かせる職人でありたいし、それを広く発信するディスクジョッキーでもありたいですね」。そば粉はもちろん、醤油、みりん、鰹節などのたしかな素材を追求し、味わいのハーモニーとして提供していきたいという。座敷と老化のテーブルを合わせて13席。緑あふれる庭の眺めもご馳走の一つ、時間がゆっくり流れていくのが嬉しい。