蕎麦 OTAFUKU
青葉区八幡町にあった十割手打ちの人気店「OTAFUKU」が、一番町の高等裁判所近くに移転。和風古民家からお洒落なカフェ風へと、趣も大きく変わったが、供するそばは一段と洗練され、味わいが増したようだ。絶品なのが「特選十割挽きぐるみ(白)だ。その時々に厳選したそばを臼で自家製粉し打つ。今日のそばは山形県最上町産とのことで、緑味がかっているのは鮮度がいい証拠。実際に手繰れば、ふんわりと香りが立ち、口当たりとコシの良さが心地いい。
するすると食べ進んでも、みずみずしい光沢が変わらないのも見事だ。本枯れ節2年物を使うそば汁は、甘みを控えているものの、まろやかで奥深いコクがある。「山形十割玄挽き出羽かおり(黒)」も魅力の一皿。出羽かおりの玄そばを石臼挽きにして、やや太めに打つ。弾力がある元気なそばで、噛むほどに大地の香りが口中に広がる。ごく上品な田舎そばというところか。産地に自ら出向き、素材を厳選するという阿部直樹店主。
「使うそばは他に、北海道摩周湖産、信州戸隠産など。どれも美味しいですよ」。何度も通いたくなる訳だ。副菜は、山形・船形町産のマッシュルームをそば粉で揚げる「天ぷら」が定番。ゆっくりできるなら、クラフトビールの最高峰といわれる「うちゅうビール」や、関西の名酒など、阿部さんが選ぶそば前を傾けるのもいい。「そばも酒も、精いっぱいの美味しさをお届けしますよ」と、笑顔で約束してくれた。