日本中を沸かせたラグビーワールドカップ
昨日の日曜日、4強を目指して戦った対南アフリカ戦。敗れはしたものの健闘ぶりは、ラグビーファンは勿論、ルールなどほとんど知らない人にも大きな感動を与えました。素人目にも、技術的には互角だったと映りましたが、体力の差は如何ともしがたいものがあったのでしょう。そのことを一番知っていたのは当の選手たちだったに違いありませんが、それでもそんな言い訳は全くせず、試合終了の笛が鳴り、ひとたびノーサイドになると、敵味方なく、お互いの健闘をたたえて笑顔で接する姿も、ラグビーならでの風景で、テレビ画面越しに見ている私たちも清々しい気持ちになりました。勝負は水物とよく言われまず、今回のワールドカップ日本大会に関していえば、日本チームの活躍は番狂わせということはなかったような気がします。それは、この日を迎えるために選手たちがどれほど過酷な練習に耐え、同時に秘策を練ってきたのかを、みんなよく知っているからでしょう。体力勝負が前提のラグビーで、欧米の巨漢とまともにぶつかって、彼らの圧力に負けないための訓練は並大抵のものではなかったはずです。
それでも、ラグビーが好きという選手たちは、決して弱音を吐かず立ち向かっていく姿を子ども達に見せたかったというお父さん、お母さんも多かったのではないでしょうか。何がそんなに人の心を熱くするのかといえば、勇猛果敢な戦いぶりもさることながら、「強さだけではなく、相手を尊敬するという、人としての基本のようなものを教えられるような気がする」と誰かが言っていました。格闘技大好きで、勝ち負けに対してクールなわが家のお母ちゃんも、オヤジの解説付きで今回のラグビー中継を食い入るように見ていました。オヤジはというと、サッカーにお株を奪われ、影が薄くなったことを嘆きながらも、高校時代に体育の授業で味わったラグビーを忘れられず、以前はよく話題にしていたそうですが、いつしか話が合わなくなってしまったせいか、ボクは、オヤジの口からラグビーの話を聞いた記憶がありません。でも今回は、「ノックオンてなに?」「パントとは?」「フッカーて何をする人」など、矢継ぎ早に質問するお母ちゃんに、機嫌よく丁寧に答えていました。ちなみに、力自慢だったオヤジはフッカーだったそうです。
そのオヤジの解説によりますと、スクラムは足腰の強さが勝負なので、相撲を国技にしている日本人の方が有利だともいえるが、身長差があまりあり過ぎると、肩を組み合ったとき、身長の低い日本人は、背中の角度が大きくなってしまうため、どうしても押し込まれてしまう。今回の南アフリカ戦では、この形がもろに出ていたとういうのです。どういうことかというと、「人」という字のようにスクラムが組めれば、身長が低くても足腰が強ければ五分以上に戦うこともできるが、ラグビーのスクラムでは、お互いに肩を合わせ合ってスクラムを組むため、身長の低いチームは背中の角度が立ってしまうので、どうしても押し込まれてしまう。そのため、ジリジリとゴールライン付近に追い詰められてしまい、ちょっとした隙に、トライを決められる。選手たちの名誉のために言いたいのだが、彼らは足腰の力が弱いわけでも、鍛え方が足りないわけでもない。肩を組み合うというスタイルに問題があるのだ。決してこれはいいわけではない。大相撲で小兵力士が巨漢に勝つパターンは、たいてい、小兵力士が巨漢力士の胸に頭をつけいる時だ。解説終わり!