さぬきうどん〇讃(まるさん)
今や全国区となった讃岐うどん。しかし、宮城県内で専門店をうたう店はそう多くはない。「香川県は信号機よりもうどん屋の数多い。朝の5時から営業しているから、香川の人は朝食にうどんを食べてますよ」と語るのは店主の曽川慎一さん。2002年この地に店を構え、今年で17年になる。曽川さんの両親は讃岐うどんの本場香川県の出身。家族で宮城県の小牛田に居を移しても尚、両親は香川の製麺所から、うどんやだしに使う香川県伊吹島の「伊吹いりこ」を取り寄せていたという。
お母さまが嫁入り道具に持たされたという「麺打ち台」と「麺棒」をそのまま譲り受け、毎朝麺を打つ。足踏みしてから熟成させること二日。〇讃のうどんのコシの強さと美味しさの理由は、小麦、醤油、塩、いりごまで、徹底した本場ものへのこだわりと、この低温長期熟成にある。「トマトやゴーヤのかき揚げうどん」は、夏の代表格野菜がタックを組んだ季節限定メニュー。ざる、かけ、釜揚げ、生醤油うどんの4種類から選ぶことができる。同じ讃岐うどんでも茹で方によってその食感は全く違う。
中でも〇讃がおすすめしたいのが「生醤油うどん」。トマトとゴーヤのかき揚げと一緒に口に運べば、エッジのきいたキリリと締まったうどんの滑り具合がなんとも気持ちいい。うどんにかける生醤油は、いい塩梅を心得ながら少しずつたらし、味のグラデーションを楽しもう。〇讃にはこの他にも、明太子クリームうどんや、くりーみーカレーうどんといった創作メニューが豊富。食べた後、満たされたお腹と心に口福な余韻が残る魅惑のうどんである。