薫りと和酒 紬-tsumugi
広瀬通に面したビルの2階にある。店内に入ると正面に太い梁、その下に一枚板のカウンターと落ち着いた佇まいながら、フレッシュな活気を感じるのは、若い店長佐藤信さんと長沼千鶴さんが発する明るい雰囲気のせいだろう。「小学校の卒業文集に"料理人になりたい"と書いてたんですよ」と笑う佐藤店長は、宮城調理師範学校を卒業し、飲食店で修業を積み、銀座の燻製専門店煙事(えんじ)でも勉強したという。
旨い燻製のために、まず素材を吟味。こだわりのベーコンには、様々な試作の末、脂に甘みがある田尻産黒豚・島豚かずごろうを使っている。塩、三温糖、醤油の他にワイン、にんにく、玉ねぎ、生姜などが入った燻製液に1週間つけて塩抜き、乾燥して、令燻でゆっくり薫りをつける。「ぱさつかず、ジューシーに仕上げたいので、うちは令燻です」。おしゃれな皿に盛りつけられた「おすすめ燻製の4種盛り」と共に素材の新鮮さまでじっくりと楽しめる一皿だ。
厚焼き玉子のサンドイッチ「玉子さんど」は、燻製しょうゆでいただく。素材厳選は日本酒も同じで、「他ではなかなか味わえないお酒を厳選しています」と長沼さん。ずらりと並ぶ日本酒は、確かに見慣れないラベルのものが多い。お客さんは40歳前後の男性が中心で、最近は女性客も増えてきたとのこと。店のコンセプトは「わくわく働ける店」。壁に貼られた手製のメニューチラシ、「大人の喫茶店 クリームソーダ」にも楽しさが垣間見える。