カフェ はれま
塩竃市のお釜神社の真向かいにある「カフェ はれま」は、明治初期に建てられた「旧ゑびや旅館」の1階にある。東日本大震災のときにリノベーションされた建物は、新しさと懐かしさをあわせ持っている。店内はテーブル席とソファ席の他に小上りがあり、明治・大正時代の仙台箪笥や帳場机が風格を添えている。定番の「抹茶のシフォンケーキ」は、そんな店の雰囲気から醸し出されたような一皿。牛乳を使って、もっちりと仕上げてある。甘さを抑えたケーキと添えられた粒あんを一緒に食べると、和菓子のような味わいが広がる。
アイスクリームや果物を甘く煮込んだコンポート、ベリーの甘酸っぱさを生かしたナパージュも、味と彩りを豊かにしている。「本日のシフォンケーキもあるので、好みの方を選べる。レトロな雰囲気に浸りながら座っていると、昔ながらの甘味を食べたくなる人も多いようで、一年を通しての人気商品は「白玉クリームあんみつ」とのこと。ランチメニューはトマトベースの「はれまカレー」と、塩竈の藻塩を使った「おむすびせっと」の2種類。なめらかな豆乳プリンがデザートにつく。
オーナーの菊池千尋さんは、かつては会社員だった。喫茶店を開く夢をかなえるために、2010年12月に退職。店舗の場所を探すも、なかなか見つからなかった。2011年3月に東日本大震災が発生。菊池さんはボランティア活動をしているなか、この建物に引き寄せられるように店をオープンさせた。「塩竈のまちを照らす明るい『はれ(晴れ)ま』になるよう、そしてその明るさが広がるよう、頑張っていきたい」と話す。2017年5月には古物商の免許も取得し、個性的な骨とう品でも、店を盛り上げている。