船岡城址公園の桜
桜好きの方にとってたまらないのは、仙南のもう一つの桜の名所である船岡城址公園の桜も一目千本桜と合わせて楽しめることです。さわやかな川風を感じながら白石川堤の桜のトンネルを歩き、ふと見上げるとシンボルの船岡平和観音が頂上に立つ船岡城址公園が見える。近づくほどに桜をはじめ春の花々に彩られた山、花の山であることを知らされる。レンギョウの黄色、桜の淡紅色、桃の花等々。なんとも華やかで美しい。船岡城址公園と白石川堤、二つの桜の名所をつなぐ「しばた千桜橋」を渡れば、桜の景色を間近に見ながら、至福の花見ウォーキングを楽しむことかできる。残雪を抱く蔵王の山々と桜並木、心躍るビュースポットが続く。
立ち止まってじっくり堪能するもよし、シャッターを切るもよし、楽しみは尽きない。頂上へはスロープカー(往復大人500円)で。桜花の中をゆっくりと進む片道4分の行程は、刻一刻と桜のトンネル、桜の海が眼前に展開し、心まで桜色に染まりそうだ。東側の麓にある駐車場から中腹のスロープカー乗り場までは無料シャトルバスが運行されている。桜坂と名付けられた坂をのんびりと歩いていくのもいい。頂上の船岡平和観音広場もビュースポット。だんごなどを売る店もあり、観音様の足元で桜景色を思い思いに楽しむ老若男女の姿が見られる。カナダからの観光客を案内していた白石市のボランティアの方がいて、「あの川堤やここの桜は樹齢100年を超えるものがほとんど。川堤の桜は土手の強化にもなったそう。根を張って土を固めくれるから」と話してくれた。
それにしても一目千本桜は実際は1200本で、船岡城址公園の桜は1300本というから合わせて2500本の桜の世界がここにあるわけだ。なんと贅沢なことだろう。一目千本桜と船岡城址公園は、一体となって「日本さくら名所百選」に選ばれている。桜の種類をみると、白石川堤はソメイヨシノを中心にシロヤマザクラ、ヤエザクラ、センダイヨシノなど。また船岡城址公園ではソメイヨシノがほとんどだが、白いキリシマザクラや濃いピンクのカンヒザクラといった品種も見られる。センダイヨシノは、仙台市で生まれ、幻の品種といわれたもの。その復活に柴田農林高校バイオ研究班が取り組み、平成9年に発足した大河原町さくらの会とともに増殖に努めている。千本桜の中で、センダイヨシノに出会えたら幸運だ。