飼い主の賠償責任
先日テレビで、ワンちゃんがジョギングしている人を妨害したのがきっかけで大けがをしたため、ワンちゃんの飼い主が損害賠償責任を問われた裁判で、1000万単位の賠償を命じられる判決が下された。お母ちゃんは、洗面所で髭を剃っているオヤジに、わざわざそのことを伝いに行きました。すると、オヤジは即座にそれは当然だろう! と吐き捨てるように言いました。お母ちゃんにして見れば、何かにつけてワンちゃんの味方をしているオヤジにしては珍しいと思ったのかどうかはわからないが、とにかくどんなコメントをするか興味があったようです。そして、その答えを聞いて、「やっぱり」という少し複雑な表情を浮かべていました。というのは、「ワンちゃんには罪はないので、その飼い主にも責任を負わせるのは気の毒だ」という感情と「飼い主の責任」という理性が交錯して、オヤジの意見を聞いて納得したかったのでしょう。
その時、お母ちゃんは、10数年前にオヤジが巻き込まれたワンちゃんが関係した事件を思い出していました。それは、「オヤジが車で走行中に小さなワンちゃんが車の下に潜り込んだので、急ブレーキかけたところ、後ろ走行していたバイクが、オヤジの車に追突してしまった」という事件でした。バイクを運転していた人は確か新聞販売店の従業員さんだったので、会社に報告しなければならないので、警察を呼ぶことになりました。オヤジの車はそれほど傷んでいませんでしたので、円満に解決しようと思ったのですが、バイクの男性は、オヤジが急ブレーキをかけたことについては緊急避難に当たるので、やむを得ないが、ワンちゃんの飼い主の責任は重大であるという主張でした。そんな話をしていたとき警察官が到着し、事情を説明していると、そこへ、リードを持ったワンちゃんの飼い主が現れました。
その時のワンちゃんの飼い主(おばあちゃん)の言い分は、「リードをつけていたのに、それを抜け出してきた犬が悪いので、私の責任ではありません」というのです。お巡りさんはお巡りさんで、「誰が悪いわけではないので仕方がない」というのです。バイクの男性は、飼い主であるおばあちゃんの責任を強く追及しました。オヤジが急ブレーキをかけたことを責める人は誰もいませんでしたので、はじめは黙っていましたが、お巡りさんの「誰が悪いわけではないので仕方がない」という言い方には違和感があったので、それはおかしいと抗議しました。おばあちゃんは、責任を認めると賠償を支払わなければならないと思い、かたくなな態度に出ただけのように見えたので、オヤジは、おばあちゃんにお金を請求するつもりはないが、飼い主に責任があることだけは認めるべきだと説得しました。最終的には、バイクの男性も納得したのです。もちろんワンちゃんには責任はありません。