加護坊山の桜
加護坊山は広大な大崎平野に、ドーム型の山容を見せる標高224mの山である。頂上に登れば、全山を覆う桜もそうだが、その桜越しに見える360度のパノラマには感動のため息が出るばかりだ。春霞の向こうに、北は栗駒山、西は船形連邦や七ツ森、南は蔵王、そして東は太平洋まで望むことができる。名前に魅せられてその歴史をお聞きしたところ、天武天皇(673から686年)が勅願寺として、加護坊山国家安楽寺を立てたという由緒正しい歴史があるそうだ。当時は寺院64、坊舎108もあり、東の比叡山といわれていたと伝わり、現在もその礎石群が残っている。
例年4月10日頃にふもとから咲き始め、20日過ぎに満開になり、ソメイヨシノが散ってもヤエザクラがゴールデンウィーク明けまで見られるというから、花見期間はほぼ1ヵ月に及ぶことになる。地元の人が2度も3度も花見に訪れるというのも納得。4月下旬でも、中腹のソメイヨシノがはらはらと散はじめる一方で、山頂付近の桜はまだつぼみのままということもある。加護坊山の千本桜は、見られる期間までスケールが大きく、嬉しいばかりだ。桜の開花期間に合わせて、1ヵ月間「加護坊桜まつり」が開催され、ライトアップも行われる。
頂上からの斜面は芝生広場となっていて、ここでは家族連れ、ペット連れ、グループでと様々な人が思い思いの桜時間を楽しむ光景が見られる。遊歩道も設けられ、ゆったり桜散策も楽しめる。足元には剪定した桜のチップが敷き詰められ、足にやさしいのもいい。中腹にある加護坊四季菜館は、地場産品コーナーを併設したレストラン。窓際の席に座れば桜の中に浮かぶレストランを体感しながら、地元産にこだわった美味しい料理に舌鼓を打つことができる。富士山の溶岩プレートで焼く4種類の肉が楽しめる溶岩プレート石焼セットなどが人気。